映画「PMC:ザ・バンカー」公式サイト » PRODUCTION NOTES


 『PMC:ザ・バンカー』の始まりは、『テロ,ライブ』公開時の5年前にさかのぼる。そのときハ・ジョンウは、キム・ビョンウ監督に「軍事境界線の地下に、地上とデカルコマニー(“転写”を意味するシュールレアリスムの芸術技法)のような空間があったらどうだろう?」というアイデアを好奇心で提案した。

 地下空間の広大なバンカーというアイデアに魅了されたキム監督は、おもちゃのレゴでミニバンカーを作った。美術監督はレゴの造形物を基にミニチュアモデリング作業と3D作業を行い、実際のセットを作る際の誤差を減らした。そして美術チームは限定された空間ならではの息苦しさを解消しようと、空間ごとに個性と多様性を与えた。実際のセットが作られる前に廃棄されたデザインだけでも数十にのぼり、長い準備を経てセットデザインのコンセプトを完成させた。

北朝鮮のバンカーは参考になる資料が足りず、第二次世界大戦以降に作られた旧ソ連のバンカーを参考にした。このように多様な資料の調査と数十回のシミュレーションの末に誕生した地下バンカーの空間は、キム監督特有の感覚的な演出を成功させる重要な背景となった。

 本作には世界中で流行しているサバイバル・ゲームの魅力が盛り込まれている。まずキム・ビョンウ監督は、登場人物の感情に沿ったすべてのアクション・シーンを、観客が直接的に体験しているかのように描くことを望んだ。そのために一人称視点のP.O.V.カムが投入された。劇中に登場する民間軍事企業ラプター16の傭兵たちはヘルメットにP.O.V.カムを装着し、スクリーンに中継される彼らの視点を見せることで、よりリアルで動きのあるアクション・シーンを完成させた。

 また、本作の現場にはプリビスシステムが投入された。このシステムはCGを活用し、作業前に過程のイメージをコンピューター上で作り上げるもので、ハリウッドでは常用化されているシステムだ。撮影前に何度もシミュレーションと修正の作業が行われ、こうしたシミュレーションは俳優たちの体力消耗が激しいシーンにおいてテイクを減らし、集中度を高めるキーポイントとなった。結果的に本作はプリビズシステムによるワンテイク撮影の長所を極大化させ、俳優たちの熱演とアクションをよりリアルにカメラに収めることができた。

 キム・ビョンウ監督は傭兵という職業の特性を生かすため、さまざまな国籍を持つラプター16の傭兵たちを完璧なまでに個性豊かにスタイリングすることを望んだ。衣装チームは数ヵ月もの間、メンバーを体型別、ポジション別に分けた後、俳優たちがフィッティングできる服を分類する作業を行った。そして私服スタイルの軍服をスケッチし、サンプルを作った後にキャラクターに合うよう修正した。

  一方、ミリタリーマニアであれば反応するであろう多様な武器は、キム監督の想像力と軍事専門家の考証が合わさっている。特に、四方の壁をぶち破るドローンはキム監督が考案したもので、ゲームのような画面を演出する際に使われた。そのほか各種の小型銃器類や銃火器類、ナイトスコープ、爆発物など、あらゆる武器が小道具チームによって調達され、俳優たちのキャラクターと一体化した衣装と小道具の融合がいっそう本作の魅力を高めている。

 主人公のエイハブ隊長に扮するハ・ジョンウの大きな課題は、エイハブがしゃべるスラング混じりのセリフだった。一ヵ月以上もアメリカに滞在したハ・ジョンウは、言語指導のコーチのもとでセリフひとつひとつの訓練を受け、台本を完璧に覚えていった。

 さらにクランクイン1ヵ月前に韓国に帰国したハ・ジョンウは、週5日、1日に4~5時間ずつリーディングの練習をした。ハ・ジョンウの完璧主義でストイックな姿勢は本作の完成度を高めることに貢献し、劇中ではハリウッド俳優たちとの滑らかなセリフのやりとりを披露している。

 ユン医師役のイ・ソンギュンは北朝鮮の方言を身につけるため、北朝鮮出身の方言指導のコーチとの特訓を行った。特に、留学経験のあるユンの経歴を生かすため、大衆に馴染みのある開城(ケソン)式の方言ではなく、ソウルの標準語が混じった訛りにするなどディテールにこだわった。エイハブとの交信シーンの撮影では、自分の撮影がない日も現場に出向き、ハ・ジョンウの演技中には自分も無線機で相手になって演技をした。